<forget-me-not1>






さわさわと頬に何かか触れる感覚をきっかけにルークは目を醒ました。






「・・・・・・・・・っ!!」



上半身を起こし、辺りを見回す。


一面に広がるのは何処か見覚えのある草原。

草原は夜闇に包まれ、月が静かに地上を照らしていた。



風に吹かれ、長い赤髪が流れるように動く。

それをぼんやりと眺めながらルークは、ふと

「・・・誰の髪だ?」

そよがれている髪を一房掴み、ぐいっと引っ張ってみる。

「痛っ!!俺の髪かよ?!何で長くなってるんだ??」

ルークは訳が解らずに自分の髪を見つめる。

髪の毛は屋敷に居た時くらいに伸びていた。だが毛先は以前の様に色が抜けていない。

「一体どうなってるんだ・・・」

どさりと茂みの中に倒れこむ。仰向けになり夜空を見上げ、無造作に伸ばしていた指先に何かが触れた。

ルークは顔を横に向け触れたものを見る。

「・・・・?!あ、アッシュ・・・!」

ルークは飛び起きてアッシュの顔を覗き込んだ。

若干血の気の薄い顔色をしているが特に以上が無さそうなのを確認してホッと安堵の息を漏らす。





アッシュも生きてる。




自分のよりもさらに赤い髪に恐る恐る触れてみる。





確かに触れる。目の前で眠っているアッシュは幻なんかじゃない。




じわりとルークの心に広がる喜び。









「アッシュ!アッシュ、起きろよ!」

肩を揺さぶってアッシュに声を掛ける。

暫く揺すると、アッシュは小さく呻きながらうっすらと眼を開く。

「アッシュ!」

「・・・れぷり・・か・・・?」

まだ意識がはっきりとしないのかアッシュは焦点の定まらない瞳でルークを見る。

だがそれも徐々にはっきりとしてきたのか、ルークを睨みつけ

「どうしてお前がここにいる?!」

「ここって?」

「速く先に行けと・・・・・」

途中まで言ってから急にふつりと押し黙る。そして

「・・・ここは何処だ」

「多分タタル渓谷」

「何故俺はそんな所に居るんだ。そもそも俺は・・・」

死んだ筈だと小さく呟く。

状況を飲み込めていないアッシュは苛立たしげに舌打ちをする。

「おいレプリ――」

アッシュがそう言いかけた時だった。












ルークの耳に懐かしい声が響いてきた。











「・・・っ!ティア・・・?!」

立ち上がって声の聴こえてくる方を必死で薄暗闇の中必死に眼を凝らして見る。



「・・・・・・・・ぁ」



ルークは無意識に声を上げ、込み上げて来る感情を抑えるように口元を手で押さえる。









見つめる先にはティアだけではなく、ガイを始め旅を共にしていた仲間達の姿があった。



















ティアが高らかに大譜歌を歌い終え、その彼女にジェイドが何か伝えたのかティアが小さく頷いたのが解った。















仲間達がこちらに背を向け渓谷を後にしよとするのを見てルークは駆け出した。


「おい、レプリカ?!」

突然走り出したルークにアッシュは反射的に声を掛ける。

ルークは足を止めずに顔だけで振り返り

「皆がいる!アッシュも早く来いよ!!」

「・・・皆?仲間が来ているのか」

取り合えずアッシュもルークの後を追いかける。



―――あいつの仲間に話を訊けば何か解るかもしれない。

そう考えながら。



















































ティアはふと人の気配を感じ、振り返った。


「・・・・・ルー・・ク?」


草が生い茂り、月を背後にして長髪の青年が一人佇んでいた。




とても見覚えのある印象的な赤毛。








青年がゆっくりと微笑んだ。




























「・・・ただいま、ティア」





















物語スタートです。が、いきなり捏造・・・。
最後ルクティアっぽいですが前提はアシュルクです(ていうかルーク総受けでも良いや

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