<forget-me-not13>
アッシュの唇から紡がれる言葉が、本当の事だとは思えなくて、今俺の前に居るアッシュは偽者なんじゃないか
と思った。偽者と言うか、俺が望んでいるアッシュ、とか。
だって・・・
「俺はお前を認めている」
幾ら望んでも、望み通りの言葉が彼の口から言われるなんて、微塵も思っていなかったから。
それにアッシュが小さく笑みを浮かべてるとかそんな夢みたいな・・・夢?
あぁ、そっか夢なんだ。夢か。
じゃあ
「俺はこの世で一番、アッシュが好き。愛してる」
俺が見ている夢なんだったら、夢の中のアッシュはきっとまた望んでいる言葉をくれる。
「・・・俺もお前が好きだ」
うわ、嬉し過ぎて泣けてくる。
さっきとは別の、哀しいとかマイナスな感情で流す涙じゃなくて、幸せとかプラスな感情で流す涙。
哀しかったり辛かったりした時に流す涙は冷たいんだけど、嬉しいとか幸せな時に流す涙は凄く温かいんだよな。
それを強引に手の甲で拭いながら、あははと笑う。
「すっげー嬉しい。アッシュの口から『好きだ』なんて言葉が訊ける日が来るなんて思っても見なかった」
「今、訊けただろう」
アッシュが少し仏頂面になった。あれ、照れてるのかな・・・。怒らせた?
夢。これが夢なのかと思うと凄く残念だなぁ。
目が覚めれば、アッシュの言葉は消えてなくなっちゃうから。いや、消えはしないけど。俺の心の内にずっと残っ
てるけど。「好きだ」って言ってくれたアッシュの姿が消える。
それは残念だ。
「なぁ」
「何だ?」
「これって、夢なんだよ、な」
「・・・夢?」
「うん。だってアッシュが実際に俺を好きだ何て言ってくれる筈ねーもん」
「・・・・・・」
「・・・」
「夢・・・じゃなかったら」
「え?」
「夢ではなかったら、どうする」
「自分の頭を引っ叩いて見る」
「ならやってみろ」
やってみた。
「・・・っ?!痛ぇ?!!」
夢だと思って加減無しに頭殴ったら、もの凄く痛かった。脳が縦に揺れたよ。
え・・・。痛いって事は
まさか
「あれ・・・」
「お前は何時の間に寝たんだよ」
そうだ。俺はまだベッドの上に居るだけで寝に入ってなかった。
今までアッシュと話・・・てか、俺が一方的なことを言ってて
「・・・うっそ」
「嘘じゃねぇよ」
うわぁうわぁ恥かしい・・・!!俺マジで恥かしいな!夢じゃないじゃん!!何考えてんだよ!
火照ってきた顔を慌てて両手で隠した。
でもそれだけじゃまだ恥かしいから、布団を被った。・・・死んじゃいたい。嘘。死にたくない。
布団を被ってたら、アッシュが近付いてくる足音が聞こえてきた。ギシッ、とスプリングが軋む音が聞こえたと思っ
たら布団を勢いよくひっぺがされた。そしたら顔を隠していた両手も強引に剥がされた。
目の前に翡翠色の双眸があって、思わずドキッとする。
両腕を掴まれたまま、俺は一瞬だけ見たアッシュの目から視線を逸らした。恥かしすぎて直視できない。
何だか気まずい雰囲気が流れる。
でもそんな中でアッシュの掌から伝わってくる体温が心地良い。
そんな事を考えてたら
「ルーク」
アッシュに名前を呼ばれて、一気に思考が吹っ飛んだ。
ギクシャクとした動きでアッシュを見れば、真正面から翠が見返してくる。
そして紡がれる言葉。
「ルーク。 」
片手で前髪を払われて、額に何かが触れる感触がした。
もう、何も考えることが出来なくて呆然としていたら
アッシュの紅い髪が流れ落ちてくるのと同時に
唇を塞がれた。
一人称のみで話を進めました。
ルークが華麗におマヌケキャラになっています(爽
そして15話じゃ収拾が付かなくなってきたorz
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