<forget-me-not16>





『・・・この花って、昨日俺とアニスが見てた花の色違いの・・・何だっけ?』

『勿忘草、だ』

『そう!勿忘草だ。・・・なぁ、アッシュ』

『何だ』

『勿忘草にも花言葉って、あるんだろ?教えてよ』

『白い勿忘草の花言葉は”私を忘れないで ”。青い勿忘草は・・・』

『青は・・・?』

『いずれ教えてやる』

『え〜、今教えてくれよ』

『既に俺がお前に言った言葉の中に意味が含まれている』

『・・・何時の言葉?』

『つい最近だ』

『う〜・・・・・・。解んねぇ』















波打つような視界の中で、男が近付いてくるのが見えた。しかし身体が痺れた様に感覚が麻痺していて、思うよう
に動かせない。
頭の中ではヤバイヤバイと警鐘が鳴り響いているのにそれに反して身体はピクリとも動かない。

死ぬかな。

一瞬だけ「死」と言う言葉が感覚の鈍った思考の中で過ぎる。



死ぬ。



アッシュが好きだって言ってくれたのは昨夜の事。折角両想いになれて、これからだと言うのに自分はもう死ぬ
のか。


「・・・っ!!」


嫌だ!死にたくない!


必死の思いで全神経を下半身の方へ集中させて、足に力を入れようとするが上手くいかない。気持ちばかりが先
走るだけで身体はピクリとも動いてはくれない。
ヒュッと空を切る音が聞こえた気がして、ルークは思わず目を閉じてしまった。

どす、とナイフが突き刺さる鈍い音が聞こえた。

しかし次いで襲い来る筈の激痛がこない。

ルークは恐る恐る瞼を開けた。





そこには―――

「あ・・・・・しゅ・・・?」

目にも鮮やかな深紅が目の前で花弁のように散るのが見えた。















『アッシュ〜教えてくれよぉ』

『しつこい奴だな。何故そんなに知りたがるんだ』

『知りたいから』

『・・・。本で調べれば良いだろ』

『ヤダ。アッシュに教えてもらいたい』

『・・・・・・。どうしてもか』

『どーしても』

『なら、教えてやる』

朱髪に添えた青い花をルークに見えるようにして、アッシュはその青の花弁へキスをする。目を丸くしてその光景
を見ているルークに、アッシュは花を手渡しながら静かに言葉を紡いだ。

『俺はこの花の花言葉と同じ、お前に俺の生涯、そして死しても尚、真実の愛を捧げることを誓う』

『え・・・』






『青色の勿忘草の花言葉は”真実の愛”だ』




















うひょうあ!もう何もコメントの仕様が無いです;;
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