<forget-me-not3>






タタル渓谷からバチカルへ向かう際にはノエルの操縦するアルビオールに乗った。

乗っている間、二人はエルドラント崩壊から2年の月日が流れていたことを仲間たちから訊かされた。

そしてルーク・アッシュの墓が造られ、今日成人の儀が行われた事。

ルークとアッシュは黙ってそれを訊いていた。

























「ルーク・・・!!」

ファブレ公爵家へ行くと、母のシュザンヌは二人を強く強く抱きしめた。
ぎゅっと力強く抱きしめられ、少し戸惑いながらも二人は母親の温もりに浸った。
そして、「よく帰ってきた」と言葉少なげにも常に厳格だった公爵が僅かに父親の表情を見せてルークとアッシュ
を迎えてくれた。






城へは明日行く事になり、仲間達は宿屋に泊まる為公爵邸を後にした。

屋敷を出るとき、ナタリアが

「後日、貴方方にお見せした居場所がありますわ」

と言い残し、城へと帰っていった。





















「・・・・・・・・で」

「・・・」

中庭の、ルークの部屋の前でルークとアッシュは立っていた。


シュザンヌに、空いている部屋が無いから今日は二人でこの部屋を使ってくれと言われ、こうしているわけなの
だが

「ベッドが1つしかないのに、母上はどうしろって言うんだ・・・」

ルークの部屋は一人部屋。つまり、当たり前だがベッドはひとつしかない。
無理矢理二人で寝ようとすれば寝れるくらいの大きさではある。

ルークはアッシュと二人で寝ることに別に抵抗は無い。

問題はアッシュの方だった。

ドアノブに手を掛けてルークが中へ入ろうとしてもアッシュはその場から動かない。

「アッシュ、今日だけ我慢しろよ」

「・・・」

「・・・じゃぁ、俺椅子で寝るから。アッシュはベッド使えよ。それでいいだろ?」

「ざけんなっ!誰もそんな事頼んじゃネェだろ!」

「だったらどうすんだよ」

ピリピリしてるなぁ、とルークは小さくぼやくのとほぼ同時に、アッシュはドアノブを掴んでいたルークの手を振り払
い部屋へと入った。

振り払われた手を一瞬だけ見て、ルークもアッシュの後に続いた。
明かりの無い薄暗い部屋の中でアッシュはさっさとベッドへ潜り込んでいた。
ベッドから落ちてしまいそうなくらい端へよっているアッシュにルークは苦笑いする。
反対側へ回り、しかし直ぐには横にならないでベッドに腰掛ける。キィ、とスプリングが微かに軋む音。お互い背を
向ける形になる。
聞こえるのは二人分の小さい小さい息遣いだけ。

何時までも続きそうだった長い静寂を破ったのはルークだった。

「アッシュは、やっぱり俺のこと嫌いか?」

「・・・・・・・」

「俺は・・・タタル渓谷でアッシュが生きてるって、夢じゃないって解った時スゲー嬉しかった」

「・・・・・・・」

「きっと、ローレライが俺の願いを訊いてくれたんだ」

「・・・・・・・」

「『アッシュと二人で、帰りたい』って」

一旦言葉を区切り、ルークは続ける。

「アッシュは俺のこと、好きじゃないかもしれないけど、俺は・・・・」

しかし、そこまで言ってルークは黙り込んだ。
ちらりと肩越しにアッシュを見れば、アッシュはルークに背を向けたまま何も反応しない。
もしかしたら既に寝てしまっているのかもしれない。
ルークはそう考え、自分もアッシュに触れないようベッドに潜り込んだ。



「・・・おやすみ、アッシュ」

それだけ言ってルークは直ぐに眠りについた。












再び静寂に包まれた部屋の中、アッシュは背中越しにルークの寝息をと時折呟かれる寝言を聞いていた。











































「俺は・・・・アッシュのこと・・・・好きだよ・・・・」
























ルーク→アッシュな状態です。
ティアやナタリアの恋心は片隅に置き去り・・・。
しつこいですけどアシュルクですので。
next→